とあるコンテスト用に製作したものです。競争倍率が少なそう、大きさは勝利、という安易な考えでPG部門を選びました。PG発売後、いつか作ることがあるだろうとシャア専用と量産型の2体を購入したまま、今では倉庫の邪魔者になっていたのも理由です。
コンテストは締め切り(2月15日)まで2ヶ月です。ちょうど僕の仕事が忙しい(12月19日から1月4日まで無休)盛り。それに加えトラブルが襲い、かなり苦しい製作となりました。
製作は次の順序で行いました。
時間がないため、本体は無改造で武器とランドセルの自作で目を引こうと考えた→PGデザインを全肯定した小林誠版(ソロモン・エクスプレス)っぽくしようと思う→そのデザインは頭、両肩、スカートを直し、後はジュースの缶を使えば済むので、お手軽な割に効果が高い→小林版の頭は設定書に割と忠実なことに気付く→設定書を見ながら頭を直したら他も気になりだし、足、胴体、両肩、マシンガン、ひじの順で徐々に拡張工事していくことになった。
量産型のパーツ以外はすべてプラ板とエポキシパテで製作するつもりだったのですが、時間短縮のためにスカートと腿はシャア専用から奪うことになります。旧キットのパーツは1mmも使用していません。
1月17日夜時点。
頭部はほぼ形ができていて、足の比率も直してあります。
すね外装は中央で4mm幅詰め。
胴体はぎりぎりまで絞りました。
スカート前後はシャア専用パーツを実験台に。
モノアイシールドはかなりヒケているので、ヤスリをかけて磨きだします。アクリル質なので十分に磨きなおすことが可能です。しかしこの作業である事実が判明します。
金型に傷が入っている!!
キットのモノアイシールドは向かって右の内側に傷が入っているのです。他の商品4体も調べましたが、すべてに入っているので個体差ではないと思います。キットのままでは表面が波打っているため、目立たなかったのです。これはちょっとショックでしたね。
仕方ないのでモーターツールに面棒を固定し、タミヤコンパウンド粗目→細目→仕上げ目で傷を消しました。
胸中央は角度を変えた左右側面にあわせ、コクピットフロアを詰めて3mm後退させました。僕はザクの胸厚は薄いのが正解だと思っています。HGUCを製作しているときから感じていましたが、胸を厚くしたせいでショルダーアーマーが胸にかぶさらなくなり、頭もくちばしを下げられなくなって(下げるべく延長すると頭自体が大きくなってしまう)前を向くようになってしまいました。1つの破綻が他に波及していくところはハセガワのVF-1ファイターみたい(僕が絶望して中断した理由。「1.5mmの悲劇」は後に解説したいと思います。)だと思ったり。
側面スカートは上方向に延長。胸からすぐスカートが始まるほうがザクらしいと思っています。動力パイプがない旧ザクと違ってさほど目立たないかもしれませんが、我慢できませんでした。
すねと腿を接着、エポキシパテで滑らかにしたところ。
すねは結構くぼみがあり、でこぼこでした。
すねフレームは4mm詰め、腿フレームを4mm延長。
身長を変えず1/60をキープ。
じゅんしぃに「何も足の裏は平らにしなくとも…」といわれました。(笑)
前後で4mm短くしたのでキットのパーツが使えなくなったのも理由です。
ランドセルは上面と左右側面を除いてプラ板に置き換え。
曲面はエポキシパテで製作。
ここで間抜けなことで時間をロス。
エポキシパテが硬化してから乾電池をゲージにヤスリがけしていたのですが、
良く考えたら乾電池にメンソレータムを塗って硬化前に押し付けておけば。(苦)
疲れてたんだね…。
ショルダーアーマーは3分割して詰め、再接着後エポキシパテで整形。
トゲは設定書のように丸いものにしたかったのですが、良い案が浮かばず。
知り合いの原型師に「ガンダムハンマーのトゲ」を使っては?と
いわれて試したのですが、径が合わずそのまま。
裏側からは見れたものじゃない画像その1。
中央を量産型のパーツ、左右がシャア専用のパーツです。
裏側からは見れたものじゃない画像その2。
角度を変えて再接着しています。
補強に瞬着+タフロンリベースを使用。
タフロンリベースはかなりいいですね。
すねフレームの再接着でも使用しています。
ガチャピンになった瞬間。
時間短縮のためガンダムカラーCG24をそのまま塗ったらこんなことに!
ガンダムカラーはキット成型色を再現したもので、アニメ色ではありません。
疲れてたんだね…。
塗りなおし。
シールド比較。
右からキット、自作1号、自作2号。
自作1号は設定書から比率を読み取ってボール紙で試作後、プラ板製作。
アニメっぽくディティールなしで製作したが、何人かの人に意見を聞くと
ディティールはともかく「折れ」の部分が丸くないのが不評でした。
僕は
「他に設定で丸い部分が四角くアレンジされている部分が一杯あるのに、何でそこだけダメなんだ」と
納得いきませんでしたが、
結局可動戦士ザクのシールド裏のディティールをそのまま再現した、
丸い折れのシールドを製作しました。
また、自作1号は必要以上に丈夫に作られており、キットのものより若干重く、
取り付けると肩が垂れ下がってくるので、どの道作り直しが必要だったのでした。
写真で判ると思いますが、自作2号のシールド接続部はオフセットされています。
設定画正面ではオフセットされているように見えるので、これも取り入れたのです。
実際作ってみるとシールドを後ろにまわしやすそうに見え、また、自作1号のように
前に飛び出さずに幅が稼げるので一石二鳥のアイディアだと思いました。
設定書に近い角度から。
防眩処理はあるとき設定書を眺めていて気付いたものです。
マインレイヤーのときも施しています。
キットとの比較。
設定書を見る限りザクの頭はΩのように下へ窄まらず、やや下へ開いた∩型です。
MSVのキットではこれがほぼ再現されていましたが、MGあたりからまた
Ω型に戻ってしまいました。Ω型だと動力パイプがない旧ザクなど
丸顔でかわいくなるんですよね。
ブロックヘッドの頭も同じカーブを描いています。オモロイドも同様。
ひょっとして大河原デザインでドクロモチーフの頭部はすべて∩型なのかもしれません。
ちょっと複雑なカットをしました。
キットの頭頂部をまず接着してひさしのラインで水平にカット。
その頭頂部は中央で2mm幅詰め。下部は内部フレームに対して2mm下げ、
モノアイ部分の幅を広げます。その後プラ板でガイドを立て、
エポキシパテを盛って滑らかに成型しました。
正面から。
この頭部の形を1980年に解明していた
ストリームベースの方々(1/144で頭部、ショルダーアーマー、足首3点セットを製作)は
すごいと思います。
ひざを独立可動すべく、フレームに仕掛けをしたのですが、
股関節が1/100(700円)ガンダム並に動きませんので、無意味な工作になりました。
ひざはキットパーツを幅詰め、ふちをカットしてからガイドを立ててエポキシパテで整形。
動力パイプはリアルタイプ風に針金とスプリングに糸ハンダで作りました。
すね裏は肉抜きが目立ったので、ラジエターを配置。
MGから採用された左右共通パーツ。
確かに工業製品的にはリアルだと思います。
金型が共通でコスト削減になりますし、組み立ても楽です。
実際にこのような兵器が存在すれば共通にするでしょう。
メーカーもユーザーもうれしいに違いありません。
しかし、僕はキャラクターとしてのロボットが好きなのです。
大河原・安彦ラインはすそ(足全体もですが。笑)のラインが内と外で違います。
なので簡単ながら、すそのラインを変えてその効果を出してみました。
うすうす判ってはいたものの、設定書を尊重すると他の角度から見たときに
劇中の安彦画とのギャップが。(笑)
薄い緑はベースにガンダムカラーCG24にCG24+たっぷりの白と少量の黄色で上塗り。
濃い緑はベースにMr.カラー70に23を上塗り。
今回の反省点。自分への戒めとして書き残します。
1.完成させたい最終形をきちんと決めろ。どんどん変わってしまい、工期が延びた。
2.あせっているときは迷わず瞬着を使え。シールドのプラ板箱組みで溶解系セメントを多用したため、完全硬化にとんでもない時間がかかった。
3.セメダイン木工用エポキシパテは表面に使うな。きめが粗く、表面処理が2度手間だ。けちけちせずにウェーブ軽量エポパテを使おう。
4.ガンダムカラーCG24は生で使うな。ガチャピンになってしまうぞ。
5.初期のPGは自重に間接が負けてしまっている。固定にするか可動させるなら改造ミニ四駆のごとく肉抜きせよ。シールドはともかく、ライフルを持たせたら肩が下がってしまう。また全体の重量が重過ぎて(キット無改造の時点で)持ち上げるのが怖い。
そして今回アクシデントがありましたので報告。
A.胸のパーツとスカートの接続ピンが完成直前に折れてしまった。
B.左肩の内部フレームが割れた。
C.ウェーブ517コンプレッサーが壊れた。
AとBは完成間際だったので心が折れました。修理しましたが、おそらくラッカーシンナーによる劣化でしょう。気をつけてエアブラシしていたのですが…。特に最近のバンダイキットでは説明書に塗装を推奨しない旨が書かれています。…塗装できないような再生プラスチックを多用したキットで模型コンテストを主催するバンダイに矛盾を感じているのは僕だけでしょうか?
Cは追い込みで塗装をほぼ1日していたら突然ハンドピースからオイルが噴出したのです。当然ザクもオイルまみれ。最初オーバーヒートによるものか(クイックプラグを使うようになってからあまりコンプレッサーを止めなくなった)と思ったのですが、いろいろやってみてもダメで、こんなことは初めてです。ウェーブに聞いたところ、原因が今ひとつ判らず。送って調べることになりました。被害にあったザクとハンドピース4台(噴出さないまでも内部に溜まっていたものがあった)の洗浄で1日をロスしてしまいました。最後はタミヤコンプレッサーREVOを借りて何とか仕上げましたが、不満の残る塗装になってしまいました。いずれ塗りなおそうと思います。
REVOを長時間使ったのは初めてでしたが、ハンドピース洗浄に時間がかかる以外はかなり気持ちよく使えました。
PGザクキットは、MGの可動部を増やしてただ大きくしただけというのが正直な感想です。それによってプロポーション(ひじなど展開させるためだけに盛り上げている)やプレイバリューに破綻が生じている部分も見受けられました。もともとのMGからそうなのですが、ポリゴンが足りないモデルにも見えます。ショルダーアーマーが球につばを付けただけの造型やすねやふくらはぎが突然平面になる部分を見ると特に。ただ、部品点数は最近のMGに比べると少ないくらいなので、説明書程度の仕上がりであれば5日間くらいで楽しく作れるキットだと思います。
とりあえず暫定完成。
大河原リアルタイプイラストみたいに
完成日付をマーキングに紛れ込ませたいですね。
この工作は同じデザインを流用しているMG2作目とHG(08小隊)ザク、
それにFGザクにそのまま応用できると思います。
僕は今回の工作でどこを何ミリという数値が判ったので、
楽に作れそうです。
08/02/20
4月24日、電話があり、プラモコンテストでPG部門大賞をいただいた報告を受けました。
作品を静岡展示に送って欲しいといわれましたが、破損しやすい箇所があるため、それは辞退しました。隣の県の展示会に本人が持っていっても、一部破損しましたからね。
代わりにホビーショーではパネル展示になるそうです。しかし、このコンテストは応募概要に「このコンテストは大賞を決めるものではなく」とあるのに「大賞を受賞」といわれ、更に何の証明書もいただいておりませんので、このままでは狼少年に。(笑)
そして5月16日、本当かどうか確かめに行きました。
名人のコメントです。
ハイ、以後精進いたしまする。
どうやら狼少年にならず済んだようです。しかし、まさか欠席(模型展示をしなかった)が僕だけだったなんて!はずかしーっ。
とにかく、応援してくれた皆さん、ありがとうございました。
08/05/16
雑誌に掲載されました。
ホビージャパン
唯一カラーです。
電撃ホビーマガジン
最優秀以外の作品も掲載されていて、いい感じです。
そしてコメントがホビーショー展示と違います。
↓
モデルグラフィックス
唯一「一部」のみ紹介。
ZZガンダムが一際大きいのは、「センチネル風味」だからでしょうか?
各雑誌のカラーが見えて面白いですね。
08/05/25
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