HOW TO BUILD GUNDAM


HGUC1/144量産型ザク

「設定重視」ペルシャたろー

 このキットはアレンジ版で発売されることの多い最近のガンプラの中で、設定やTV作画に近く、これなら1週間くらいで気軽に作れるのでは、と購入してみました。特に気に入っているのはコクピット周りの曲面です。戦車モデルのテクニックを使って、完成したときに重量感を出せたらいいな、と思います。

 細かく見ると元デザインからまだMGのアレンジが残っていますが、今回気軽にということで、どうしても気になる部分だけを修正しました。

1.すね
2.頭部


 すねは太く、ひざと足首の周りに厚みが出ているので、内側の部品B26、B28を1.6mmずつ削りました。もちろんポリキャップがすねを合わせたときセンターに来るように、すね外側B27、29側のパイプ状の部品も削って調整します。それから足首のフレアの厚みを削りました。根気よくカッターでやっても良いのですが、曲面なのでリューター1分(つくし形状ビット使用)で済ませました。これにより、すね幅を詰めて失った可動範囲は復活します。ひざはプラ板を貼って角度をゆるくすると共にすねとの段差をなくします。

 ついで足の甲部品B30の可動部に筋彫りをし、靴部品A16との接地面付近に生じているバンダイエッジ(バンダイの設計上生じてしまうエッジ)を削り取ります。

 頭部は問題の多い部分です。丸いはずの頭部が頭頂部付近で平らになっているのです。CADで設計していて楽に曲線をつないでしまったのでしょうか?

 どうにも気持ち悪いので、丸くなるように削りました。また、カトキハジメが参加してから顕著に見られるようになりましたが、顔部分より頭の占める割合が増えています。以下に例を示します。

 画像左半分がオリジナルに近いバランス。右半分が現在のバランスです。

 目の下の赤いくま取り部分は、オリジナルでは屏風状に山谷があるのですが、現在は面が単純化されて、筋彫りでごまかされています。
 水無月の絵で説明するとこんな感じです。つまり、「萌え化」しているみたいなのです。(笑)

 なので、頭部B36からモノアイガードを取り去り、ひさし部分を1.5mm削りました。これで顔部分が相対的に増えます。モノアイガードはモノアイレールA22の塗装、B17と接着後、0.5mmプラ板で復活させました。本当は0.3mmくらいを使いたかったのですが、強度を考えたのです。今思えばアルミ缶から切り出しても良かった気がします。(笑)それにしてもモノアイガードはMG以来、妙な厚みと接合部の粘りがありますね。

 くちばしに当たる部分B11は、楔形のプラ板を挟んで下へ向けます。それから動力パイプの生えている部分の位置、形状共に違っていたので削り取り、エバーグリーンのロッド丸棒直径2.4mmで作り直しました。動力パイプは1節分切り詰め、1mmプラ棒でつないでいます。途切れた面は「ウェーブエポキシパテ軽量タイプグレー」を使用しました。ポリパテと違い、ヒケないので最近エポキシパテがお気に入りです。特に使用したものは、硬化前の硬さ、接着力、硬化時間、硬化後の切削性に優れていると思います。

 モノアイはピンクで塗装後、マスキングテープから直径3.5mmの円をテンプレートと針で切り出して貼り付け、艶あり黒をエアブラシ。途中、工作が面倒になり、MSVザクの頭部とコンバートしようともしましたが、大きさが違いすぎて断念しました。


 次に気になったのは、

3.ランドセル(A17)
4.腰後部のマウント(A15)
5.腰側面のマウント(A12)


 3と4は連動しています。ランドセルが設定デザインに戻りました。とてもうれしいのですが、抜きの問題で、劇中登場のスラスターが再現されていません。こちらはコトブキヤのプラパーツP-113で取り付けました。

 4のマウントはMGで採用された不思議な設定です。ここに太いバズーカを装着するというのです。この不思議な設定は、Zガンダムの「ガンダムMK-U」の設定に原点を見出すことができます。ここで「小説版機動戦士ガンダムV」表紙の大河原邦男イラストだと思った方は、思い違いをしています。最初のガンダムは1度たりとも腰にバズーカを装着したことはありません。よく見てください、あれは腰ではなく、背中のランドセルに装着しているのです。おそらく以下の経緯で定着したものと思われます。

小説版機動戦士ガンダムV表紙を見て
思いついたデザイナー藤田一己が
ガンダムMK-Uの腰にバズーカー用マウントラックを設定。



その設定を見て思い違いをしたデザイナーカトキハジメが、
雑誌企画ガンダムセンチネルのガンダムに
MK-Uとの整合性の名の下、採用。



バンダイ企画、大河原邦男クリーンナップの
プラモデルHGガンダムで採用。



MAXファクトリー、ホビージャパン読者参加、
大河原邦男クリーンナップの
MGガンダムで採用。
以後、MGザクにも採用されて現在に至る。

 Zガンダムのときはランドセルが本体から離れていたので、武器を装着しても問題なかったのですが、最初のガンダムはザクともども本体とランドセルは密着していますので、武器を装着するとスラスターにより、破壊されます。(笑)これはストリームベースの方々が当時作例で示したようにランドセルに装着すべきだったのではないでしょうか。ということで設定を遵守し、4のマウントは接着、整形し、なかったことにしました。

 こうして見ると、武器を腰マウントするためにランドセルを改変せざるを得なくなった→ランドセルと整合性が取れなくなったので本体を改変と、捏造を繰り返している間に引き返すことができなくなってしまった、という話を思い起こしますね。(笑)

 5のマウントは設定にありますが、おもちゃっぽい大きさだったのでプラ棒とエポキシパテで埋めた後、溝を復活させました。

6.ひじの加工

 ここで完成にして塗装に移ろうと思ったのですが、ひじのプリン状の部分が大きく、高さが低く感じたので、コトブキヤのプラパーツとエポキシパテでよりプリンに見えるようにしました。僕は2mm高さを増しましたがちょっと高かったようです。今度作るときは1〜1.5mmに抑えたいところです。

7.肩の取り付け位置

 仮組みして肩の位置が低くて気持ち悪かったので、1.5mm上方に胴体の機構ごと移動しました。以上、本体の工作終了。


 最初、設定どおりの量産型カラーで塗り始めたところ、どう見ても「ガチャピン」に見えてしまい、力が抜けてしまいます。アニメどおり、ということなら「可動戦士ザク」がありますので、いわゆるリアルタイプの塗装にしようと思いました。僕の好きなイギリス軍のカーキ色(設定上のモデルはドイツ軍らしいですが、ザクの色はむしろロシア戦車の気がします。笑)に決定。カーキで思い出したのが、「ザクマインレイヤー」です。そのイラストを参考に塗装しました。


ランドセルはアニメ設定の青緑色。
明度をわずかに下げました。
すね後方は設定上断面が丸いのですが、
MG以来のアレンジで一部平面が入っています。

 カーキ色は最初GSIクレオスのカーキ色を切らしていたため、機体内部色とブラウンで調色したのですが、ちょっと黄色が強いようだったので、カーキ色を調達。そのままでは赤が強かったのでやはり機体内部色と混ぜて作りました。かなりイラストに近づいたのでは、と自負しています。

 胸部分の色は土地色を塗りました。イラストを見て、影で色が変わっているのか色そのものが違うのか迷いましたが、同一平面状にあるオプションバーニアと比較し、違う色であると結論付けました。この2色だとイギリス、というよりまるで日本陸軍色ですな。(笑)

 と、ここまで作ってきたらマインレイヤーにしたくなってきました。丁度手元にMSVシリーズのザクマインレイヤーのキットがあることですし。で、追加工作。

8.イラストに似せるため、太ももにエポキシパテを盛って形状変更。

 うーむ。お手軽でなくなってしまった気が。太くしすぎてスカートが閉まらなくなったので、1度作り直し。更に融解系接着剤が思ったより安定せず、完全硬化に2週間かかってますし。細かく表面処理。


 さて、ザクマインレイヤーはSFプラモブック1機動戦士ガンダムREAL TYPE CATALOGUEのイラストが初出です。


13ページに

 MS−06Fタイプのザクに装備される爆撃用オプションバーニヤ。冷却タンクと宇宙機雷投下装置・通信機がセットされ、通常タイプのバーニヤ(ランドセル)の五倍の航続距離をほこる。

とあります。
その後発売されたMSVモビルスーツバリエーション1ザク編で、
早くも設定の改変が始まります。




7ページに

 大戦初期から中期にかけて、FタイプのザクUに機雷散布ポッドとバーニヤを一体化したランドセルを搭載したものが、宇宙空間への機雷敷設に活躍した。とくに、地球からルナツーへの航路と、暗礁空域において、地球連邦軍の宇宙艦艇は、多大な損害をうけた。

とあります。

 僕はマインレイヤーの登場は後期が自然だと思います。なぜなら、塗装が簡略化されているからです。僕はMSをWWUの戦車だと思っているのですが、実在の戦車は迷彩以外、単色のものがほとんどです。特に米軍の車両などはスコップや消火器、工具にいたるまで車体と同色で塗られています。物資の問題などで国が厳しくなるに従って簡略化されていくほうが自然だと思うのです。そういう意味でボトムズ中期のスコープドッグの塗装はリアルだな、と思いました。(笑)ちなみにMSVモビルスーツバリエーション1ザク編は、イラストの色調が変わってしまっているので、塗装の参考にならないと思います。

 話を戻します。実在の戦車で色が違う部品は材質が違うもの、頻繁に交換するものが多いです。僕はザクのひじ、ひざ、靴はラバーをコーティングした頻繁に交換する部品だとみました。



マインレイヤー完成です。

 エナメルとメタルカラーで若干汚しをかけましたが、迷いがあります。実在の兵器にあわせるか、イラストに準じるか…。横山宏氏がプラモデルに終わりはない、といってくださっているので、気がむいたときにマーキングや塗装の続きをしたいと思います。完成改め、2007年2月時暫定としましょうか。


イラストに近い角度から。

 オプションバーニアは脱着可。設定によると本体背中幅より狭いので、中央で2mm幅を詰めます。部品のエッジは薄くしました。横向きスラスターのマウントをエポキシパテで台形に整形。お手軽に、ということでかなり手を抜いています。(笑)色は本体のカーキ色とメタルカラーを使用。

 重量感、出てますか?


イラストから判断して、オプションバーニア天板から伸びている
動力パイプは角度からいってもダグラムのターボザック同様、
肩に接続するのが正解ではないでしょうか?

イラストの伸びている位置そのものも怪しいのですが。
ダクトから生えていたり。(笑)

その動力パイプの設定は実のところ存在しません。
では、どうしてパイプの伸びた先がくちばしになったのかというと、
HOW TO BUILD GUNDAM 2のMAX渡辺(当時渡辺誠)氏の
作例に起源を見ることができます。


掲載作例がバンダイ得意の「思考停止」により、
そのままに近い形でプラモデルになったのです。

 思考停止は最近も続いています。HGUCザクの後に発売されたHGUC旧ザクのデザインがMGタイプに戻っていたり、ザクの引き出し式肩関節は小スケールならともかく、大スケールでもそのままの機構だったり。胸を3分割して胸ブロックごと前に動かしたほうが自然なポーズを取れないですか?(やまとのイデオンを見てください。)スカートも胸から生やしたブロックに取り付けるのではなく、スカートを取り付けた腰ブロックを胸ブロックにはめ込んだほうが美しいラインができませんか?(可動戦士ザクを見てください。)…とても他の商品を研究しているとは思えません。

 余談ですが、HOW TO BUILD GUNDAM 2で小田雅弘氏が、SFプラモブック1機動戦士ガンダムREAL TYPE CATALOGUEによってザクのひじのプリン形状が明らかになった、とありますが、実際は劇場版アニメグラフブックMOBILE SUIT GUNDAMですでに大河原邦男によって明かされています。(予告用図面参照。)

 小田氏やストリームベースの方々は前作HOW TO BUILD GUNDAMでこの本のイラストを作例にし、更に当時にして完璧に近い形状の頭部を自作していただけに、気づかなかったのが不思議です。

 また、この本はザクの靴底が小判形状であること、靴底にスラスターが存在しないことがはっきりと描かれています。(作画監督の安彦良和によって否定されている。)後にこの修正原画を見た大河原邦男は、否定された形そのままのスラスターを靴底に装備した、シャア専用ザクのイラストを描いています。僕はお手軽、ということで今回はキットそのままの靴底にしました。(笑)



僕はHOW TO BUILD GUNDAMの
川口克己氏の作例で、
「モノアイガードの隙間から向こう側が見える!」
と感動したことを今でも覚えています。衝撃的でした。

僕のザクはモノアイを回転するようにしてありますので、
消灯状態にもできます。

 解説は以上です。最後に自分がした失敗を戒めるためにもここに書いておきます。

 久しぶりにバンダイのキットを作りましたが、プラスチックの質が明らかに悪くなっています。塗料、パテの食いつきが今ひとつで、余計な修正をする羽目になってしまいました。おそらく以前より離型剤を増やしているのではないでしょうか?

 トランペッターのキット同様、マジックリンに1晩漬けましょう!その後お湯ですすいで脱脂完了です。



1/144スケールを集めて記念撮影。
手前が僕の1番好きなドイツ戦車ヤクトタイガー。

ザクの大きさ、ありえねー。(笑)
やはり身長175cm、体重74.5Kgの人間を
単純に10倍した設定のせい?(笑)

サムソントレーラーに寝た後、パイロットはどうやって乗り降りするのだ?
第1話のアムロから察するに、
ガッチャマン並みの跳躍力があるとしか思えません。
本当にリアル、にするなら梯子がいっぱい必要になるはず。

 
ワンダさんでないとモビルスーツに乗るのはムリだ。



ヤクトタイガーはワールドタンクミュージアムのもので、
エナメルと鉛筆で汚しをかけてあります。
僕の好きな成田昌隆氏のヤクトタイガーっぽく仕上がったので、
お手軽汚しにしてはうまくいったと自画自賛してます。

07/02/20

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